Interview with Rabbi Kalman Samuels

By Kinue Tokudome

Rabbi Kalman Samuels is the Founder and President of Shalva, the Israel Association for the Care and Inclusion of Persons with Disabilities.

The Japanese version of this article was published in the February 2021 issue of “Myrtos” magazine in Japan.

障がい者支援施設「シャルヴァ」 の夢: カルマン・サミュエルズ
『みるとす』2021年2月号


Shalva National Center in Jerusalem

Tokudome: First of all, thank you very much for allowing me to translate your beautiful and inspirational memoir, Dreams Never Dreamed.

The book contains so many moving episodes—your awakening to Judaism while traveling to Israel as a college student from a secular family in Vancouver, marrying a very religious 18-year-old daughter of a Holocaust survivor, having your healthy 11-month-old son, Yossi, lose his vision and hearing because of faulty vaccination, your struggle to find a way to help Yossi, seeing the breakthrough in Yossi’s ability to communicate, the legal fight against those who were responsible for Yossi’s injury, opening and expanding of Shalva in spite of many obstacles along the way, being blessed with generous donors, and overseeing Shalva that has become a world-renowned center for children with disabilities and their families based on the philosophy of inclusion.

What kind of experience was it for you to write this book, revisiting all these episodes over the years, some of which were very painful?

Samuels: Several years after Yossi was injured, I found myself living in New York with a family of very young children and working long hours in the computer field to make a living.   My goal was to help my dear wife Malki with anything and everything I could do to ease her physical and emotional burdens. That included caring for the children before I left for the hour-long subway trip from Brooklyn to Manhattan each morning, and upon returning after 6 PM, spending time with each child and helping to put them to sleep.   After that, I required time to study and enhance my professional computer knowledge.

Malki had enormous pressure and responsibilities and I did not wish to add to her burdens with my thoughts and concerns.   So I began recording those thoughts and feelings in a late night diary, and in some way this was my therapy.  As Shalva developed I found myself sharing many of the stories with friends and donors and realized that they found them to be of great interest and most meaningful.

I finally decided to share the stories behind the Shalva story in an organized manner in book form.   It was a most challenging and trying experience to relive it all in great detail and organize it on paper but I am pleased that I wrote it.  


Courtesy of Shalva

Tokudome: Those who read this book find out that the real driving force behind Shalva is Malki, your wife. Was she also involved in the writing process for this book?

Samuels: Malki has always wanted to stay under the radar, far from the public eye.  My desire to write a book was extremely difficult for her because clearly, I would have to write about her, but she recognized how important it was for me and allowed me to write it.

I consulted with her on delicate topics but she has not read the book and probably never will.

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菅首相は安倍首相の中東政策の成果を引き継ぎ、推し進めよ

安倍首相のイスラエルへの前向きな取組みと外務省のアプローチに大きな違い

エブラハム・クーパー、徳留絹枝、テッド・ゴーヴァー
2020年10月5日

 Rabbi Abraham Cooper,  Kinue Tokudome,  Ted Gover

日本の新首相である菅義偉氏は、前任者の安倍晋三氏の中東政策の遺産を受け継ぎさらに発展させるとともに、日本の中東政策に必要な幾つかの変更を実施する機会に恵まれています。

日本は30年近くにわたり、ヨルダン川西岸とガザのパレスチナの人々への経済的・社会的開発援助を通じ、中東で重要な役割を果たしてきました。 1993年以来、日本は、農業・経済開発・難民支援・医療サービスを促進するパレスチナのプログラムに、$1.7 billion(約1,800憶円)以上を惜しみなく寄付してきています。

これらの重要なイニシアチブが、パレスチナの多くの人々の生活の質を改善させるのに役立ったことは、疑いありません。

さらに安倍首相のリーダーシップの下、日本は、イスラエルの人々への経済的および地政学的関与を拡大しました。 2015年に安倍首相がイスラエルのヤドヴァシェムホロコースト記念館で行った歴史的なスピーチは、日本と世界中のユダヤ人コミュニティとの間の信頼を高め、日本が中東においてさらに大きく、よりバランスの取れた役割を果たす契機となりました。

しかし、近年の日本のイスラエルへの友好的働きかけが歓迎すべき進展である一方、それは、日本の国連におけるイスラエルに関する公式の立場と一致していません。入植地問題からガザの緊張、ゴラン高原領有問題に至るまで、国連における日本の外交姿勢は、日本ともイスラエルとも価値観を共有しないレジームと協調し合うものです。

安倍政権下では、彼のイスラエルへの前向きな関与と、外務省のユダヤ人国家に対する非協力的政治姿勢との間に、著しい違いがありました。安倍首相のイスラエルに対する前向きな取り組みと外務省の中東に対する時代遅れのアプローチとの明白な違いは、この地域の地政学的な利害関係と新しい現実を考えるとき、懸念の材料でした。

菅首相の新政権には、この状態に必要な修正を加える機会が与えられています。今がそのタイミングです。

ここ数ヶ月、中東の力学は大きく変化しました。イランの相変わらずの好戦的姿勢とパレスチナの頑なさの中にあって、イスラエルは、アラブ首長国連邦とバーレーン王国と歴史的な和平協定を結びました。これらの協定は、アラブ人とユダヤ人の間に無限の可能性を解放しつつあります。そして日本の外務省にも、時代に合った新しいアプローチを採用するよう、働きかけることが期待されています。

重要なことは、イスラエルに対する外務省の見解が、両国が民主主義と自由市場経済を標榜し、利益と価値観を共有している事実と矛盾していることに、気付くことです。たとえば、両国間で拡大する商業関係を考えてみましょう。当初それほどではなかったものの、近年の日本とイスラエルの企業間の関係は、特にハイテク、サイバーセキュリティ、健康医療、観光の分野で飛躍的に拡大しています。

イスラエル企業が、両国の共通する価値観、また中国とイランの新しい軍事および貿易パートナーシップに関する懸念から、中国よりも日本とのビジネスを好むことは、言及に値します。

日本とイスラエルは、他にも共通の敵に直面しています。北朝鮮です。北朝鮮が日本人を拉致し、その領空を越えてミサイルを発射する犯罪は広く知られていますが、北朝鮮は何十年もの間、さまざまな方法でイスラエルに敵対してきました。

菅政権は、イスラエルに対する見方を再検討し、進行中の不安定な地政学的状況を考慮する必要があります。たとえば、日本の外交官は、イスラエルが領土の一部として扱うゴラン高原を、紛争地域ではなく、シリアのアサド大統領が所有する土地として扱い続けるべきなのでしょうか。

日本の外交官が国連人権理事会で、イスラエルが、国際的に認められた境界線を、自国の平和なコミュニティを狙うテロ攻撃から守ろうとするのを糾弾することは、正しいのでしょうか?

日本の外務省も、竹島/独島を巡って韓国と、尖閣諸島/釣魚島をめぐって中国と、北方領土/南千島列島を巡ってロシアとなど、主張が重複する自国の領土と海域も含み、侵されてはならない権利の正当性を信じているではないですか。

日本の指導者たちは、中国とロシアの爆撃機による領空への頻繁な侵入や、沖縄海域への中国の潜水艦の侵入についても、当然のことながら懸念しています。

その他に焦点を当てるべき問題は、この地域における外務省の援助政策です。

日本政府が何十年にもわたり中東に寛大な援助を行ってきたことは称賛されるべきです。最新の援助提供は、国連難民救済事業機関(UNRWA)への2,240万米ドル(約24億円)でした。しかしそれらの援助金が、問題の多いプログラムにも流用されているのです。

これらの援助の一部は多くの場合、ハマスが統率する‶教育者"が殉教(つまりテロリズム)を称賛し、社会の教科書の地図にイスラエルが無いようなカリキュラムでパレスチナの子供たちを教育する組織に、提供されます。

日本の人々は世界の平和を支援し続けるでしょうが、その受益者の中には、ハマスのような彼らの価値観を共有しない者もいることを、認識しなければなりません。

新政権が中東における新しい進路を切り開こうとする今、菅首相は、外務省のイスラエルへのアプローチを変えることで、近年の画期的な成果をさらに発展させることができます。外務省のイスラエル政策のリセットが行われなかった場合、日本人とユダヤ人を近づけた安倍首相の歴史的業績で得られたものが、失われてしまう危険があります。

日本に新しい指導者が誕生した今は、イスラエルとその近隣諸国に対しより実用的で公平なアプローチを採用するよう、外務省を新しい方向に導く絶好の機会です。

 

*エブラハム・クーパー師はサイモン・ウィーゼンタール・センター副館長
徳留絹枝は「ユダヤ人と日本  Jews and Japan (@JewsandJapan) 」の管理者
テッド・ゴーヴァ―はカリフォルニア州クレアモント大学院大学で教鞭を
とり、サイモン・ウィーゼンタール・センターのアドバイザー

オリジナルはAsia Times に掲載

Dreams Never Dreamed

 

この本は、昨年エルサレムに訪問しインタビューさせて頂いたカルマン・サミュエルズ師が、世界最大級の障がい児施設 Shalva を開設するまでの体験を綴った著書です。

以下は、昨年インタビューを基に書いた記事

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障がい児施設 Shalva を訪ねて

徳留絹枝

今年5月、テルアビブで開催された国際歌謡コンテスト「ユーロビジョン」で、障がいを持つ若者で構成された Shalva Band が世界中の人々を感激させた。(コンテストを勝ち抜いていたが、リハーサルが安息日にかかり辞退。セミファイナルに特別出演した。)

Shalva Band は、エルサレムにある障がい児施設 Shalva のミュージックセラピーの一環として結成された。今ではイスラエル国内はもちろん、世界の場で演奏する人気グループに成長した。Shalvaは、ヘブライ語で「心の平安」を意味する。

1990年、たった6人の障がい児のためにスタートした Shalva は、今や、知的・身体障がいを持つゼロ歳児から成人まで二千人に、多岐にわたるサービスを提供する世界最大の施設になった。親を対象としたプログラムもあり、障がいを持って生まれた子供の育児に戸惑う親に希望を与えることを目指す。幼稚園プログラムは、教育者・ソーシャルワーカー・セラピストが一緒に作り上げるクラスで、健常児との交流もある。学童児の放課後リハビリ・レクリエーションクラスは、スポーツ・ドラマ・アート・音楽・水泳など、施設内のコートやプールを利用してのプログラムだ。そして青少年に達した者には、調理師などへの職業訓練を提供する。(訪問時に私がお茶を頂いた喫茶店でも卒業生が働いていた。)各種セラピーは、最新の学術的成果を取り入れた内容で、研究者にとってもフィールドワークの場になっているという。

Shalva 設立者のカルマン・サミュエルズ師にお話しを伺った。

私はカナダのバンクーバーで生まれました。ユダヤ系ですが、宗教はそれほど身近に感じずに育ちました。1970年、大学1年を終えた段階で、フランスで哲学を学ぶために留学することになりました。途中イスラエルに寄ってみてはという母の勧めで、夏休みの2週間をイスラエルで過ごすことにしました。そして私はフランスへは行かず、それどころかカナダにも帰らなかったんです。イスラエル滞在中に訪れたキブツやそこで出会ったラビに大きな影響を受け、結局7年間イスラエルで学び、ラビになりました。その間妻となる女性と出会い、結婚しました。

私たちの二人めの子供のヨシは、11カ月の時に受けた予防接種に問題があり、視力と聴力を完全に失ってしまいました。知人の多くが、施設に預けてはと助言してくれましたが、妻と私はこの子を自宅で世話すると決心しました。

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Hate Crimes against Asian Americans in the Coronavirus Crisis: Lessons for Japan

Kinue Tokudome

The Japanese original was published on Ronza, April 20, 2020
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020041700005.html?page=1 

As most of us in the US are now required to stay at home because of the coronavirus, I have more opportunity to speak with some of my friends who are normally very busy. Recently, I spoke with Rabbi Abraham Cooper, Associate Dean and Director of Global Social Action Agenda of the Simon Wiesenthal Center via Zoom.

Our conversation inevitably turned to the coronavirus and how it was affecting our lives. After sharing each other’s family situation under the restriction, we talked about anti-Asian American incidents that were happening with the spread of the coronavirus across the US. In less than a month, many things happened:

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「記憶」が持つ普遍の力を信じて

サイモン・ウィーゼンタール・センター副館長
エブラハム・クーパー師 (通訳:徳留絹枝)

2000年2月17日 衆議院第二議員会館

本日は、「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」の皆様からご招待を頂き、このようにお話しできますことに、心から感謝申し上げます。

今日、皆様と私を引き合わせたものは何なのでしょうか。共通の言葉でしょうか。いいえ、私は有能な通訳がいなければ皆様と対話を持つことはできません。共通の文化でしょうか。いいえ、私達は共に野球を愛し、最新技術に魅せられ、同様のファッションを追いかけたりはしますが、それぞれの持つ文化の違いは、私達の間に横たわる太平洋ほど深いものです。それでは共通の宗教でしょうか。いいえ、今日お集まり頂いた皆様の中にユダヤ教信者の方がいらっしゃるとは思えません。

私が、今日こうして皆様と共におりますのは、サイモン・ウィーゼンタール・センターと寛容の博物館を代表する私が、私達の間にあるさまざまな違いを超越したところで私達が共有している普遍的真実があるはずだということを、信じているからです。そしてその真実こそは、私達全員の将来にとって最も重要な鍵であると信じるからです。

ユダヤの賢人は、記憶の中に再生への可能性が秘められ、忘却の中に破滅への道が潜んでいると説きました。確かに、歴史の真実を知ることは必ずしも快い体験とは限りませんし、何かを保障するものでもありません。

今世紀は、ユダヤ人にとって、祖国を持つという2000年来の夢が叶った時代でした。1950年生まれの私は、同世代の何千人という若いユダヤ人と同様、聖なる地イスラエルでモーゼの伝統を学ぶという機会に恵まれました。しかし同時に、今世紀のユダヤ人の体験は、そのような輝かしい出来事以上に暗い出来事で、新しい命の息吹ではなく民族の絶滅のイメージで、希望ではなく恐怖で彩られていたと言えると思います。アウシュビッツ・トレブリンカ・マイダネックといった土地の名前、或いはヒトラー・アイヒマン・メンゲレといった人物の名前を耳にするだけで、ホロコーストの生還者は、犠牲となった600万人の愛する者達の亡霊を垣間見るのです。そしてその中には、150万人の子供達が含まれていました。私達の世代がそれらの名前によって掻き立てられる感情は、怒りであり、不安であり、時としては叶うことのない復讐への欲求でさえあります。

そうであればこそ、本当に長い年月、自由主義諸国の政治指導者達が、ユダヤ人指導者達が、そして親や教師達が、同じアドバイスを与え続けてきたのです。…もう過去のことは忘れよう。許し忘れて、未来に向かおうと。…

たった一人を除いて誰一人、ナチスによるユダヤ人絶滅計画がやがてカンボジアやイラク・ルワンダ・そしてユーゴスラビアでの大量虐殺に繋がっていくことを、考えた人間はいませんでした。このたった一人のホロコースト生還者がいなかったなら、世界はホロコーストの悲劇を忘れていたかもしれません。しかしサイモン・ウィーゼンタールは、決して世界にホロコーストを忘れさせはしませんでした。彼は、決して次の世代の若者に憎しみを引き継ぐことをさせなかったのです。

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