ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は教育、科学、文化の発展と推進を目的として、1946年に設立された国連の専門機関です。憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」と謳われています。
ユネスコは先月、ユダヤ人と聖地エルサレムの歴史的繋がりを否定する二つの決議を採択しました。
先ず、アルジェリア、エジプト、レバノン、モロッコ、オマーン、カタール、スーダンが、エルサレムの旧市街地にあり彼らが「アルアクサ寺院」と呼ぶ地域でのイスラエル政策を非難する決議案を提出しました。その地域は、ユダヤ人にとって最も神聖な場所である「嘆きの壁」を含み、ユダヤ人の間では「神殿の丘」と呼ばれています。決議案は、その地をアラブ名だけで呼び、ユダヤ人とその地の歴史的繋がりを否定する内容でした。
「嘆きの壁」がある「神殿の丘」
決議案はユネスコ役員会により票決が行われ、賛成24国、反対6国、棄権26国で採択されました。反対したのは米、英、独、オランダ、リトアニア、エストニアの6国だけで、日本は棄権しました。
その翌週、今度はユネスコの世界遺産委員会が、同様な決議案を採択しましたが、そこでも「神殿の丘」という呼称は使われず、アラブ名のみが使用されました。決議案は秘密票決の結果、賛成10国、反対2国、棄権8国で採択されました。
旧約聖書の記述のみならず、数多くの考古学的発見により証明されているユダヤ人と「神殿の丘」さらにはエルサレムの歴史的繋がりを完全に否定する決議案は、イスラエル国家の正当性に挑戦するアラブ諸国の活動の一環としか考えられません。
これらの決議案には、国連の潘基文事務総長、ユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長、ホワイトハウス、米議会なども反対しましたが、ヨーロッパの多くの国が反対ではなく棄権に回ったのは、国内に抱えるアラブ系移民を刺激したくなかったためと、考えられます。
日本が棄権を選んだ理由ははっきりしません。
この問題に関するエブラハム・クーパー師の意見記事